私と千年の歴史との出会いは高校の修学旅行です。歴史の先生の影響もあるのですが、その名刹の量と質に感動しました。それは、明るく開けた帯広とはちがう千年を超える歴史の重みに初めて触れたからかもしれません。中でも奈良・中宮寺の弥勒菩薩(半跏思惟像)の滑らかな彫りの美しさと天寿国曼陀羅繍帳の大きくて細密な刺繍は、先生から聞いていた以上の迫力で、その後何度も訪れたものでした。今は簡単には入れない苔寺もよく行きましたし、法隆寺金堂の焼けた障壁画の本物の焦げ跡も30センチの距離で見たこともあります。京都や奈良の雅(みやび)に、いつでも触れることのできる京都に住んでいることに感謝しています。

 それにしても、京都に来て47年も経ちますが、まだ夏の暑さと冬の室内の寒さに耐えられない私がいます。帯広は雪こそ少ないですが、その寒さは非常に厳しいものがあります。でも、家の中はストーブをガンガン焚いて、暑いぐらいで、半袖で過ごせるくらいでした。ですから、隙間風が吹き込み、家の中でもセーターを着こまなければならないくらい寒く、吐く息が白い京都の家には驚きというより怒りを感じたものでした。これは、今もです。

 最近の楽しみの一つはフェリーで帯広に帰ることです。敦賀から苫小牧まで約22時間、昔に比べたら早くなったそうですが、それでも1日かかる船旅です。でも全く退屈しません。無料の映画があったり、ミニコンサートやゲーム大会が開催されたりします。船内散策もいいですね。天気が良ければ後部のデッキに出て、白く長く続く航跡を飽きずに眺めていることもできます。ゆっくりと流れていく時間、何も考えなくていい時間というのは何にも増して貴重です。俗世にまみれた、自分自身をリセットできるように思うからです。そう頻繁に帯広に帰れるわけではありませんが、夫も賛成してくれるので、青く澄んだ十勝の空を楽しみに、年に2回くらいは帰りたいと思っています。

 関西帯広会は、京都北海道クラブの村上さんにご紹介いただきました。「そだね~」ではありませんが、出会いを大切にし、おしゃべりしたり、美味しいお酒を飲んだりできるのが最高です。楽しくて笑いの絶えない会にしていきたいですね。よろしくお願いします。

                                          宇治市在住 大島 祐美子

理事として活動している定期総会にて。

襟裳岬にて。